高血圧 脳への症状
高血圧により、心臓では太い冠動脈の動脈硬化で虚血が
生じますが、脳血管では細い動脈が障害されることが
多いといえます。
脳の細動脈が高血圧により脆弱になり、壊死を起こして
小動脈瘤を形成します。
小動脈瘤が破裂すると「脳出血」が起こり、血栓によって
詰まると「ラクナ梗塞」と呼ばれる小さな脳梗塞が起きます。
脳梗塞には別の2つのタイプがあります。
脳内の太い動脈や脳外の動脈が動脈硬化によって狭くなったり、
詰まったりして起こるのを「アテローム血栓性脳梗塞」といいます。
アテロームはコレステロールなどの脂質の集まりで、
これが破裂して血栓が生じ、脳梗塞が起こります。
もう1つは、心臓にできた血栓(心房細動に伴いやすい)が
脳血管に流れてきて、太い血管が詰まって起こるもので、
これを「心原性脳塞栓」と呼んでいます。
この2つに対しても、糖尿病、高脂血症などとともに高血圧が
関わっています。
脳出血、脳梗塞などを含めた脳血管障害の総称を脳卒中といいます。
欧米と異なり、日本では冠動脈疾患よりも脳卒中の頻度が高い
ことが知られています。
脳卒中を発症すると、たとえ一命をとりとめても、麻痛、言語障害、
認知機能の低下などの後遺症が起こることが多く、
QOL(生活の質)が著しく損なわれます。
降圧薬非服用者の脳梗塞発症率を血圧レベル別でみると、
男女とも140/90mmHgから急激に発症率が高くなります。
また、脳梗塞の病型別頻度をみると、日本人にはラクナ梗塞の
頻度が高く、比較的低い血圧値(130/85mmHg)から発症リスクが
上昇することも分かっています。
最近では栄養がよくなり過ぎ、また高血圧治療が進歩したため、
高血圧に関連の深いラクナ梗塞よりも、糖尿病や高脂血症によって
起こるアテローム血栓性脳梗塞や心房細動(高齢者で起こりやすい)
などによる心原性脳塞栓の頻度が増加しています。
しかし、主に高血圧によって起こる脳出血、ラクナ梗塞の発症予防は、
依然として日本人の重要な課題となっています。